漆喰の魅力① 安心の天然素材!産地で異なる特長とは? 2021年 10月 23日
一般的な住宅の壁や天井は、コストがかからず種類も豊富な塩化ビニールを主原料とする壁紙(ビニールクロス)が主流。日本国内の建物は90%以上がビニールクロスだと言われています。
一方で、健康志向や本物志向の方からは、自然素材を使った住まいが支持されています。そこでSUMAIパレットでは、自然素材の壁材として人気の高い「漆喰」の魅力を3回にわたって特集します。第1回目は、漆喰の成分や産地による違いといった基礎知識をご紹介します!日本とヨーロッパの漆喰は、製法に違いがありました!
漆喰は、日本だけでなく、ヨーロッパ・インド・中国など、世界中で古くから建築物に使われてきました。
日本の漆喰は温かみのあるマットな質感が特長で、ヨーロッパのものは光沢があり、日本の漆喰よりも硬く仕上がります。 いずれも主成分が「消石灰(水酸化カルシウム)」である点は共通しますが、「消石灰」のつくり方とその他の成分が異なるために違いが出ます。それでは、日本の漆喰と、ヨーロッパの中でも特に漆喰の建築物が多いイタリアの漆喰の違いを詳しく見ていきましょう!・日本の漆喰の成分と特長
日本の漆喰の主成分となる消石灰(水酸化カルシウム)は、原料となる石灰石を高温で焼いた生石灰(酸化カルシウム)に、少量の水を混ぜて作られます。生石灰に水を加えると激しく反応して発熱した後、粉末状になります。消石灰は、身近なところでは学校などでグラウンドのライン引きに使用されていました。強いアルカリ性を持つため、土壌改良や鳥インフルエンザなどの消毒にも使われます。漆喰も、塗装前は手についたり目に入ったりしないよう注意が必要ですが、壁に塗ると空気中の二酸化炭素に反応して硬くなり、乾いた後は触っても問題ありません。
日本の漆喰は、その防火性や吸湿性などから、城や蔵など、生命や財産を守る壁材として多用されてきました。落ち着いたつや消しの白色で、表面はなめらかな仕上がりです。日本の気候風土に合う、しっとりとした雰囲気がありますね!
日本では、粉末状の消石灰に「つなぎ」と呼ばれるヒビ割れ防止の保水材を混ぜて使います。スサや海藻糊、砂などは天然素材ですが、近年建材として流通している漆喰の中には、コスト削減や施工しやすくするため「つなぎ」に接着剤(化学物質)が使われている製品もあります。
シックハウス症候群が気になる方は、「つなぎ」の材料もしっかりチェックしてください!
・イタリアの漆喰の成分と特長イタリアの漆喰は、住宅だけでなく公共の施設でも使われ、古代ローマ時代から親しまれてきた壁材です。写真は、世界遺産のサンマルコ広場にあるルネッサンス期の建造物。イタリアでは建物の装飾やフレスコ画など、芸術的な表現にも活用されています。
ヨーロッパの漆喰の消石灰は、日本のような粉末状ではなくクリーム状のものが用いられます。クリーム状の消石灰は、生石灰を大量の水に浸し半年以上かけてつくるのだとか。粉末状の消石灰を用いた日本の漆喰よりも表面が硬くなり、ツヤが出やすいという特長があります。
日本の漆喰よりも水に強く、水の都と呼ばれるベニスの建物に用いられています。塗装面は鏝で何度も磨き上げることにより、ツルツルとした光沢が生まれます。
天然素材100%の製品もありますが、やはり現代では、粘着剤に化学薬品や接着剤などが多用されています。イタリアの漆喰を選ぶ際にも、成分をしっかり確かめてくださいね。
写真はイタリア北部、トスカーナ州カッラーラの採石場です。北イタリアの土壌には、消石灰の原料となる石灰岩(炭酸カルシウム)が多く含まれ、古くからこのような採石場が多くありました。
ちなみに大理石とは、石灰岩が熱や圧力によって結晶化したもの。野村工務店の家で使われている「北イタリアしっくいマルモ」は、つなぎの砂の代わりに北イタリア カッラーラ産の白大理石が20%も配合されています。
大理石は世界中で採石されますが、少しでも不純物を含むと有色になるため、真っ白な大理石は世界的にとても珍しいとか。野村工務店の家に使われる漆喰は、この白大理石の粉末が含まれているため、高級感のある圧倒的な白さが生まれるのです。
野村工務店の家は、壁はもちろん、天井まで「北イタリアしっくいマルモ」が使用されています。窓からの日差しを受けて、白さがいっそう際立っています!
「北イタリアしっくいマルモ」独特の質感が、間接照明の光をやわらかく拡散します。昼と夜、光の変化によって違う表情を見せてくれるのも魅力のひとつです。
いかがでしたか?ひとくちに「漆喰」と言っても、日本とヨーロッパでは違いがあり、別々に進化してきたのが面白いですね!
次回は漆喰のデザイン性について特集します。お楽しみに!
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